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水と食の清い関係

山葵 -WASABI- わさび

水と山葵の甘い関係

ツーンと鼻から頭を突き抜ける山葵(わさび)の刺激。ご存知の通り、お蕎麦やお刺身を始め、多くの料理に添えられる日本の文化に根付いた薬味ですよね。モノアル読者ならそんな薬味ひとつにもこだわっていただきたいところ。

山葵は大きく2種類に分けられており、古くから日本の土で育ったいた「本山葵」と東欧が原産である「ホースラディッシュ(西洋山葵)」があるのですが、ホースラディッシュは根の断片を土中に埋めるだけで簡単に栽培できてしまうのに対して、前者の本山葵は豊富で綺麗な水温9~16℃の水と、砂地などの透水性が良い土壌でなければ育たない上に、日光や害虫に対して極度に弱いため、どうしても収穫が非常に難しいとされる貴重な農作物なのです。

そんな本山葵を名産としている産地が日本全国にいくつかあるのですが、駿東郡小山町もそのひとつ。
富士山から湧きでる綺麗で冷たい水と、自然に囲まれた周囲環境も相まって山葵の産地として適している町。

そんな小山町で育てられている山葵は真妻(まづま)と呼ばれる最高級品種のもので、収穫までに1年半もの歳月をかけ育てているのです。特別、収穫までに細かい手入れが必要な農作物ではないのですが、常に水の中で育てていくため条件の揃った上質な水が大切なのです。

富士山の伏流水で育てられた小山町産の山葵は、全国の品評会で日本一となるなど、その品質の良さは疑う余地が無いほど。特徴は、さわやかな香りと辛さの中にも甘みのある上品な味となっています。

そして忘れてはならないのが、この美味しい山葵の本領を発揮できるのは、すり下ろしてからわずか10分しかないということ。そのため、小山町で山葵を手に入れることができたのなら、“使いたい時に使う分だけすり下ろす”ということを忘れてはいけません。

そうすれば、辛さの中にも甘みを感じることができる最高級の山葵を美味しく食べられますよ。

しかしながら、そんな小山町の名産が今危機的状況にあるということをしっかりと伝えたいのです。昨年9月の台風9号により小山町のわさび沢が大きな被害にあってしまったのです。その被害は全体の山葵沢およそ9割にもあたり、深刻な状況なのです。

小山町ではこの状況を一刻も早く乗り切ろうと、復旧作業が今もなお続いています。そのため、現在では被害の無かったわずか1割の山葵沢を頼りに地元の販売店さんは商品を製造し、販売しているそうなのですがやはり数に限りがあるため思うようにいかないことも多いのだそうです。

そんな危機的状況を前にしても、「頑張って町の産業を支えていこう」としている地元の山葵店さんの姿に胸を熱くさせられました。

まだまだ、山葵沢が本来の姿に戻るには時間が掛かるようですが、「美味しい山葵を食卓に届けたい!」その想いが今もこの先も世代を超えて、私たちの食を豊かにさせてくれるでしょう。

わさび写真 わさび沢横の水 わさび沢 わさび写真
撮影場所 小山町 山久荘  取材・撮影協力 丸中わさび店
店舗情報
豆腐 -TOFU- 山葵 -WASABI- 蕎麦 -SOBA- 日本酒 -NIHONSYU-