自宅に数枚、そしてかばんのなかに一枚忍ばせておくと何かと重宝する風呂敷。和の小物の代名詞のひとつとして庶民に愛用されてきたといいます。
贈りたいものを包むときに大いに役立つその自在性。サイズ、柄、色、素材など風呂敷そのもののバリエーションが豊富で、季節感を添えたり、慶弔のシーンでは風呂敷が言葉のかわりに贈る人の気持ちをそっと伝えてくれることも。
菓子折やお酒の瓶。丸いもの、四角いもの。長いものでも短いものでも。大げさに言えば、どんなものでも。アイデア次第で幾重にも拡がる様々な包み方は、贈りものに彩りと知性を着せてあげるような気がします。
正式には格やTPOなど作法を考え材質や柄を使い分けるべきではありますが、そこは使い勝手のよい便利布。悲しい場面では色味を抑えるなど最低限の心遣いがあれば大丈夫。
風呂敷は、それ自体が洒落ていて粋。軽くてかさばらない。使い回しがきくためエコという側面も。目立つわけではないけどスマートで、愛すべき和の伝統文化。
あくまで届けるのは気持ちであり、贈りものであるため「風呂敷は主役ではない」とはわかっていながらも、その存在感には注目せずにはいられません。