会社も生き物なんです。
企業が成長戦略を考えるときに、組織全体が成長するためにどのような領域に注力していくのか、その方向性を明確にしなければなりません。
成長の方向性を端的に表す概念は、経営学者であるイゴール・アンゾフが提唱する「製品/市場マトリックス」(成長ベクトル)が代表例とされています。
成長戦略は、市場戦略の中心部分となりますが、いくら独占化、寡占化を進めようとしても、軒を連ねて競合が達振る舞えば、折角出た芽も刈り取られることでしょう。もちろん競争化のなかで成長が加速度的に進んでいくのかもしれませんが、まずは既存あるいは新規の市場のうち、成長が見込まれる領域・分野にねらいを定めて、そこへ経営資源を集中させていくことが重要なポイントです。
資源投下のポイントとタイミングのボリュームによって成長の実現を目指していきますが、当然のことながら経営資源が無ければその成長は鈍化され、時間の渦の中にあっという間に葬られてしまいます。
変化する顧客、そして環境。
顧客も変化し、競争環境も変化していく中で、成長マトリクスを社内の共通言語として、常に成長の機会をうかがっていくことが重要となります。 もし成長戦略を発展的に考えているのであれば、論点を明確にして経営戦略レベルに照らし、業界ごとの参入障壁を撤廃して新たな成長市場を創造することが重要な要素となっていきます。
4つに分類される成長戦略
■市場浸透戦略
他社との競争に勝つことによって、マーケットシェアを高める戦略。一般的には、一般顧客をロイヤルカスタマーへとかえることを目指します。
現在取り扱っている製品の販売を伸ばす成長戦略で、既存客に広告的アプローチをしたりディスカウントやインセンティブを行い、商品をより購買する方法です。
■製品開発戦略
新しい製品を、現在の顧客へ投入することで成長を図る戦略。製品のモデルチェンジやバージョンアップを行う他に、関連するアクセサリー製品を導入したり、機能を付加したり、あるいはまったく新しい製品を開発します。これは、あくまで既存顧客への販売を目指すものです。
■新市場開拓戦略
現状の製品を、新しい顧客へと広げることで成長を図る戦略。典型的なパターンとして、国内向け商品を海外展開が挙げられますが、その他にターゲットをスライドさせる方法もあります。
■多角化戦略
製品・市場ともに、現在の事業とは関連しない、新しい分野へと進出して成長を図る戦略。新規分野はリスキーな成長戦略ですが、企業の主たる業務でのビジネスモデルとはまったく違うビジネスモデルを展開してキャッシュ・フローや顧客接点の分散化をすることで本業のリスクヘッジという考え方もできます。
このように、成長マトリックスでは、長期的な計画とその実施による企業経営の重要性を考え直さなければなりません。
組織が経営活動を行う基本的な事業展開について経営戦略上の位置づけを行うために、事業展開の方向を指示すること。そして経営資源と社員のベクトルを同じ方向へ集中させることが重要になってきます。
つまり、成長市場に対して生産要素の移転をスムーズに進められるようにすることが、成長戦略の全体の潮流の中心となり企業の成長ホルモンを生み出していくという考え方です。